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第1部 三章【護りのミサト!】最終話 護り護られ

Author: 彼方
last update Last Updated: 2025-12-20 18:30:00

92.

三章 最終話 護り護られ

「テメェ!」

「こんのアマぁ!!」

「やめろゴロツキが! ……負けたら負けを認めようぜ」そう言ってヤクザたちの前に出てきてくれたのは店員の尾崎コウタだった。

「うるせえ、ジャンボーイのテメェには関係ねーだろ!」

「やかましい! 負けたのはしっかりとおれが目撃してる。言い訳はさせねえぜ。最後に負けを認めない時のために助っ人も呼んだしな。工藤くーん」

「おう!」

 そこには強面のスキンヘッドが立っていた。

「くっ、工藤先輩!?」

 呉が目を丸くしている。

「全く、尾崎と財前に呼ばれて来てみたらてめえかよヤクザって。かーーーー、くだらねぇことしてんだな。ぶっ飛ばすぞコラ!」

「あっ、いっいや、これにはワケがあって」

「ひい!」

「海坊主だー!(シ○ィハンターの)」

 安岡と浜田は勘が鋭かった。自分らが勝てる相手ではないと直感すると一目散に逃げ出した。

「あっ、てめえら!」

「大丈夫だ。逃さねえよ」

 そう言うと出口付近からもう一人強面が現れて逃げようとする2人をガッシリ捕まえると……

ガコン!

バキン!

 思い切りゲンコツして一撃でのしてしまった。

「進藤先輩まで! 2人まだつるんでたんですか」

「たまたまだ、今日呼び出しされるまで雀荘で偶然同卓してたんだよ。ったく、面倒なことしやがって」

 そう言うと工藤は呉にドガン! とゲンコツを食らわせた。呉の意識は遠くなる。

────

──

「おい、いい加減起きろ」

「はっ」

 目が覚めたが動けない呉。座った状態で柱にガッチガチに縛られていた。

「たく、オマエ…… やわ過ぎだろ。他の2人はとっくに目覚めてたぞ」と言われ見てみるとハゲたおっさんが2人向かいの柱に縛られてた。

「え、あれは……」

「お仲間だろ。頭打って忘れたか?」

「いやそーでなく、あたま」

「まあ、あれくらいは当然だよなあ。汚ねえ手を使ったんだ。報いがないとおかしいだろ?」

「ひっ」

 呉は綺麗な長い髪をしていた。何年もかけて伸ばした髪だ。子供の頃貧乏で床屋なんか行けなくてバリカンで坊主にされる日々だった反動から大人になってからは長い髪にしてた。

(それを…… ハゲにされる……?!)

「いやー刈り甲斐があるなあ。起きるの待ってたんだよ。地獄を味わってもらいたくてな。最初誰行く? 財前、やるか?」

「いや、ここは私が!」とミサトが立ち上がった。

「斉田さんや石沢さんもやっていいんだぞー」

 そこには石沢伸也も集まっていた。

「テメェらあ!」

「なによ、やるっての?」

「井川ミサトか、ひとつ聞いていいか。なんでそんなに勇気が出る。とんでもないレートだったはずだ」

「あなた、一打のミスで死ぬほど後悔したことはある?」

「あ?」

「悔しくて布団叩いて暴れて泣いたことは?」

「……」

「後悔で苛立って奥歯すり減るくらいギリギリさせたことはあんのかって聞いてんの!」

「っ!」

「競技麻雀はそうなるの。高レート? はっ、そんなのは結局お金で解決できるお子様の遊びでしょ。そこでちょっと強くたってダメダメ。私らプロ雀士……

いえ、『牌戦士』とは勝負に対する覚悟が違うから。私たちのする麻雀は常に一打一打に人生を賭けてきた。重みがある戦いにはもう慣れてるのよ」

「牌戦士って?」とカオリが聞いた。

「ユキと私で決めた私たちの称号よ。ヤクザごときに私たちはひるまない」

「クッソ、言わせておけば」

「工藤さんとこの悪党はどういう関係なんですか?」とユキが聞いてきた。

「ああ、学生の頃の後輩で、麻雀教えてやったのもオレなんだ。その、オレ仕込みの麻雀を悪事に使ってイカサマまでやって…… たくよー、恥ずかしいと思わねーのか! あー!?」

「い、いや、やってない! イカサマはしてないよ! 先輩」

「それはそうね。グルにはなってたけどイカサマはなかったわ」

「あ、そうなんだ?」

 呉は目一杯考えた。工藤が許してくれそうな上手い言い訳はないか。

「……先輩仕込みの麻雀で恥ずかしいことはできなくて。どうしてもイカサマだけはやらない決めでいました(いちおう本当)」

 本音を言えば麻雀が好きだからであり先輩うんぬんは無関係なのだが呉は頭が良かった。

「……んー。そうかよ。じゃあ、仕方ない。ここはかわいい後輩だ。特別にーー」

「先輩!」

「角刈りで勘弁してやるよー」

「ひええええええ!」

◆◇◆◇

 それから――

 ミサトは病院に行って診断を受けたが風邪ということだった。しばらく安静にしていれば治ると言うことだ。というか、病院についた頃にはけっこう元気になってた。カオリのくれた薬が効いたらしい。病院では薬だけもらって大事には至らないで済んだ。

「元気になったらお腹が空いたわ。今日こそチャーハンを食べよう!」

「そうね。私たち伍麺斉の料理は一生無料で食べていいって言われたしね! 千葉にいるうちに行かないとだね」

◆◇◆◇

 カオリはと言うと

 勝負の日の夜の夢の中

「今日はありがとうねwoman。良かったよ来てくれて」

《私はなにもしてませんよ》

「とぼけちゃってえ。私が全身全霊込めてツモった一発目。伍萬ツモらせてくれたじゃん! このこのー」

《あれは偶然ですよ》

「ええ!?」

《そもそも伍萬ですよね。黒の。私だったら全身全霊込めた時には赤を持ってきますって》

「ウッ確かに! てことは偶然?」

《そう言ってるじゃないですか》

「怖ーー! マジで怖ー! 祈ったら出てきてくれるって信じてリーチかけたのヤバかったー!」

《ま、あちらさんもイカサマはしてなかったし、こちらが能力で勝つのも違いますよね。これで良かったんじゃないですか?》

「それはそうね」

《見ててハラハラしましたよ。もうあんなのはゴメンですから、絶対にあんな怖い勝負はしないでくださいね! ……しかし、強くなりましたね。カオリ》

「プロだからね」

◆◇◆◇

 一方、呉と工藤は

「呉、最後の方のダマテン。いいと思うぞ。おまえ後悔してるようだったけど。あれはあれで良かった」

「先輩見てたんすか」

「ああ、少しだけな。弟子の麻雀を見るのは師匠として当然だ」

「おれ、まだ弟子でいいんすか。スジもんなんですよ。破門にしてくださいよ」

「そのことだけどな。オレも別の組で代打ちしてたことがあるんだが。若狭組っていやあ分かるだろ?」

「黒龍会の二次団体! 堂丈組も世話になってる組織じゃないすか」

「そうだ、若狭の若頭とは古い付き合いでな。おまえさえ良ければ若狭で代打ち専門にしてやってもいい。そもそもおまえはヤクザというより詐欺師なんだ。構成員でいるより代打ち専門のいち雀士が向いてるんじゃないかって思ってな。オレも別にカタギだが代打ち専門家として使われていたんだ。どうだ、カタギには興味ないか? 良ければ話はつけてやる」

「先輩……でも、おれには浜田さんと安岡が。仲間がいるんす。肝心な時に裏切って逃げ出すようなやつらですけど。おれたちみんな弱いだけなんです。おれはあいつら裏切りたくない。たとえヤクザでも」

「バカかおまえ。オレがおまえを裏切り者にするわけねえだろ」

「えっ」

「そん時はあいつらも一緒でいいよ。第一アイツらおまえより麻雀達者だろ。三人チームで代打ち稼業とすりゃいいだろうが。まあよく話し合って決めろや」

「先輩!!」

「いい兄貴分になったな。そこだけは、褒めておいてやるよ」

 ――こうして、呉たちは組抜けをする。

 呉は後で知ったことだが工藤はこの3人を抜けさせるために50万円を組に支払ったそうである。それは3人組抜けさせるには破格すぎる安値ではあるが、それでもごく普通の仕事をしてる工藤には大金だ。

 弟子の面倒は見てやるのが師匠だからな――。と言って若頭に支払ったのだと言う。工藤強という男は男気に溢れた人間なのであった。

 そして――

「ミサトー。次はどこいくのー?」

「んー、青龍滝高校の面倒をまた見に行く」

「あの高校気に入ってんだ?」

「まあねー。あの子ら守備の才能あるし。私は護りのミサトだかんね。守備麻雀の才能ある子見ると楽しいのよ。……でも」

「でも?」

「うん。今回は守られたなって思って。ユキやカオリ。尾崎くんや工藤さん達。みんなが私を守ってくれた。護られのミサトだったね。ふふ」

「そうだねー」

 そう言ってミサトは嬉しそうな笑顔を見せながら一般道を走らせる。2人の冒険はまだ終わらない。

三章『護りのミサト! ~女流雀士冒険譚~』 終

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    88. 第二話 ダニの根性  ユキから引き継いだカオリの手牌は苦しかった。 カオリ手牌 七八八②②②④⑥68東南南 ドラ東 (頑張っても南のみのリャンシャンテンか。だけどここは最低でも満貫ツモが必要……) ツモ八 (七萬を活かしてタンヤオ移行とかしてる場合じゃない。早くリーチまで持っていかないと差し込みが行われて終わる。どうやっても不利なんだ。それなら) 打七 (通れ!)  七萬にロンの声はかからない。死を覚悟した一打でイーシャンテンに漕ぎ着けるがまだ打点は足らない。 「チッ! 気合い入った牌切るやないか」 「ここで一歩でも退いたらもう負けなんですから。当然の選択をしたまでです」  そう言うカオリの手にはあっという間に汗が滲んでいた。それもそのはず。七萬を掴んで捨てる。その作業に何人もの人生が乗っているのだ。それはとてつもないエネルギーを使わないと切れない一打だったはずだ。そこまでして進めた愚形2箇所残りのイーシャンテンにユキは目に涙を溜めながら見守った。  ミサトも神の存在を信じたこともない無神論者であるくせに何かに対して祈っていた。それは麻雀の神であるのか、それともカオリにであるのか。  いや、それは運命に対してだった。自分たちの友情に対して。これまでの青春に対して。自らの人生に対して。 (絶対に乗り越えられる! お願い! 勝って!)と願わずにはいられなかった。こんな所で終われない!  すると次巡…… カオリ手牌 八八八②②②④⑥68東南南 赤5ツモ (うぉ!)  喉から手が出るほど欲しいと思っていた赤ツモ! もう8索に用はない。この牌も危険牌だが。 打8 (通れ!) パシン  何人もの運命を乗せた一打のなんと重いこと。打牌音が響く。強打したつもりはない。ただ、勢いよく振り下ろさないと打ち出せないのだ。緊張で腕の振りをコントロールできないくらいカオリの筋肉は強張っていた。  はあっ!  はあっ! 「おうおう、頑張るやんかー」 「見上げた根性だ。極道に向いてるぜ」 「は、極道? 笑わせないで下さいよ。極める道とか。厨二病なんですか? ただの弱虫チンピラ集団が何を極められるってわけ。あなた達はただの怠け者。何もできない。真剣に仕事をしようともしない。『普通の人』になれなかった落ちこぼれよ! 今だって、正々堂

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    87.ここまでのあらすじ ヤクザ相手に超高レート麻雀をやることになったミサトたち。しかしミサトは体調を崩し、途中からユキが引き受けることになるが3対1の戦いでユキが勝つのは難しく絶望的点差をつけられてしまう。しかしそこへ財前カオリが助っ人として参戦! 最終決戦が始まる!【登場人物紹介】井川美沙都いがわみさと主人公。怠けることを嫌い、ストイックに鍛え続けるアスリート系美女。金髪ロングがトレードマーク。通称護りのミサト 日本プロ麻雀師団所属。獲得タイトル 第36期新人王、第35期師団名人戦準優勝など。飯田雪いいだゆき井川ミサトの元バイト先の仲間でありミサトのよき理解者。ボーイッシュな髪型、服装をしているが顔立ちはこの上なく女の子で可愛らしい、そのギャップが良い。金田朱鷺子かねだときこ新宿でゴールデンコンビと言われる2人組。生物学的には女だが、見た目は美男子で『トキオ』の名で通っている。通称TKOのトキオ。麻雀真剣師団体ツイカの1期生。新宿ゴールデン街で店をミカゲと共同経営している。金子水景かねこみかげトキオと2人でゴールデンコンビと言われる一流雀士。通称隠密ミカゲ。麻雀真剣師団体ツイカ1期生。新宿ゴールデン街で店をトキオと共同経営している。普段は分厚いメガネをしててダサめな姿だが、メガネを外しコンタクトにするとすごく美人。財前香織ざいぜんかおりミサトと同じ高校に通っていた親友でライバル。学習能力が高く他人の良いところを次々と吸収していく、努力すればしただけ力をつける地味めな才能を持つ天才。かつて気合いを入れると伍萬を引けるという超能力を持っていたが今はその力はない。通称財前姉妹。日本プロ麻雀師団所属。獲得タイトル、第35期師団名人位など。  その7第一話 行き着く先が地獄でも カオリの到着に気付いてユキは振り向いた。「あ、あ、あ……。来てくれてありがとう…… でも、でも、もう……。もう…… 手遅れかも……」 場を見るとユキは厳しい手牌でリーチを受けていて、その上リーチ者に他の2人も振り込んでいくつもりの方針であることが捨て牌から読み取れた。 集計表に目を通す。「ユキ、ちゃんとトップも取ってるじゃない。よくやったよ」「でも、でも、もうだめだよ」「だめなことなんかない。大丈夫! 私がなんとかするから。あとは任せて、ねっ

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